THE SUNS×HPD対談 (続)


サーフショップ「TRIMOFF」を後に、
続いて訪れたのは藤沢から車で山手の方に走ること30分、閑静な森の中に構える
サーフボード工場「SURFBOARD FACTORY」(略称SF)



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ここからHPDのジャパンシェイプはカスタマーのもとへと送られていく。
石黒聡氏は日本のサーフボードシェイパーの代表的存在として、ドナルド・タカヤマ氏に認められた唯一の日本人だ。


彼がHPDシェイパーになるまでに、タカヤマ氏の元で学んだこと、そしてHPDシェイパーとしてこれからなすべきこととは何なのか。
その神髄にTHE SUNSが迫った。


THE SUNS×HPD対談


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HPDジャパン・シェイパー石黒聡さん


「カルフォルニアに来れるか?と聞かれて迷わず行きます!と答えました」 −タカヤマ氏との出会い−



―――THE SUNS(以下S):まずは石黒さんがシェイパーに、またHPDジャパン・シェイパーになった経緯を教えて頂けますか?


石黒聡さん(以下I):16歳の時、近くのシェイプ工場に遊びに行っては年2回くらいサーフボードをオーダーしていたんです。

そこで工場に出入りしているうちにサーフボード作りの仕事に興味がわいてきて、その工場でアルバイトをさせてもう事になった事が始まりでした。

はじめはフィン作りをやっていて、19歳くらいでシェイプを始めて26歳に初めてプレーナーなどの自分のシェイプ道具を手に入れました。

その1年後には自分の工場をもって、そこで約10年サーフボード作りの仕事をしていました。


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―――S:HPDジャパンのシェイパーにはタカヤマさんにスカウトされるような経緯だったとお聞きしましたが?


I:そうですね、とにかくラッキーでした。

タカヤマさんがシェイパーを探していたという事もありましたが、HPDのボードを生産するのに万全な態勢が取れているこのSF(現在、石黒さんが所属する工場)というサーフボード工場に所属している事も、大きな後押しとなりました。

そういった全てのタイミングが合いスタートしたという形です。

ただ、タカヤマさんに初めてシェイプを見てもらった時、英語と日本語という言葉は違えどシェイパー同士として共通の通じ合う何かがあったのだと思います。

その時にタカヤマさんに「11月にカルフォルニアに来れるか?」と聞かれて、迷わず、「行きます!!」と答えました。

「すごい所にきちゃったな・・・」−タカヤマ氏に学んで−



―――S:実際にカルフォルニア修行に行ってみてどうでしたか?


I:カリフォルニアでタカヤマさんからの指導を受けて、今まで日本で先輩たちに教わったことが間違いじゃなかったという事もあれば、学んだ事の固定概念を壊される事もありました。

毎日シェイプのトレーニングをして、その他にサーフボード工場の仕事も多くあり、工場の裏の家で寝泊まりしていたのですがトレーニングが進むにつれ、ふと思ったのです。

工場に並んでいる多くのボードの全てがタカヤマさん自身が一人で考え一人で作り上げてきたものなんだな・・・と。

その時に強烈に感じました「すごい所に来ちゃったな・・」って。

HPDの各モデルは本当に良く考えて作られています。

それに気づいた時は大きなカルチャーショックを受けたことを覚えています。

タカヤマさんが多くのモデルのオリジナルを一人で作ってきた。それを感じ共感できた事が感動でした。

またサーフボード作りは、もちろんシェイピングも大事ですが、その後のカラーやラミネート・サンディングなどの工程もとても重要です。

私と同じ時期にタカヤマさんの工場へ修行に行った、SFのラミネートマンのサイトウショウイチくんも、カリフォルニアのHPDのラミネートマンを務めるウェイン・ホシザキさんのもとで技術を学び、腕を磨き、タカヤマさんに認められた職人の一人です。

やはりサーフボード作りはチーム戦です。お互い切磋琢磨し意見を言い合い、より良い物を作って行くという事でHPDブランドのクオリティーを管理しています。



―――S:HPDのシェイピングで一番心がけている事はなんですか?また、シェイピングで一番集中する時は、どんな時でしょうか?


I:まずサーフボードの機能を支えている一番重要な部分はロッカーです。

ボードにはノーズがあって、ミドルがあって、テールがあって、厚さとバランスがあって、各モデルによって全て違います。

その流れをレール、フォイルで繋げていくのです。タカヤマさんは、シェイピングの際このフォイルという言葉を口癖のように使っていました。

私がシェイピングをしていて理想的なフォイルが出来ない時には、あんなに小さな体で後ろから手をとって、体で教えてくれました。

このフォイルの出し方などは、口で説明されたり考えたりするよりも体で覚えこむ事が大事なのだと思います。

サーフィンと同じです。

体の抜重を使って寝かせたり、抜いたりしながら仕上げていきます。

タカヤマさんは繊細な方でこういった細かいところに意識を集中してシェイプしていました。

私たちはよく「モデルを管理する」なんて言うんですが、タカヤマさんのモデルを崩さないよう意識しながらシェイプをしています。



―――S:逆にカスタムオーダーの場合は、モデルを崩す事もあるのでしょうか?


I:タカヤマさんもカスタムオーダーはどんどんやりなさいと言っていました。

ただし基本は大事にしなさい、と。

ですから、身長、体重で厚さや幅が変わる事はあたりまえです。ただし…ロッカーを大幅に変えるなど基本からずれてしまうような事はしていません。

ただ、よくよくHPDのラインナップのすごさを思い知るんです。

ひょっとしたらタカヤマさんのモデルはすでに先を行っているんじゃないか?って思うことがよくありますね。

現在のHPDのボードは色々なカスタマーに対応できるラインナップが多くあります。

必ず好みのモデルが見つかるはずですよ。



「そういった声に答える準備は常にしています」−サーフボードのこれから−



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―――S:これからのサーフボードの流れはどうなっていくと思いますか?



I:すごく良い時代になっていますよね、サーファーも成長して色々なボードが出てきています。

トレンドっていう物が無くなって来ている分、その人にあったサーフボードをチョイスする時代になっていくのではないかと思います。



―――S:たとえば先日のASPの大会で海外の選手たちがロングボードでエアーを決めているシーンも出て来ていますが、こういったロングボーディングの変化というのも今後あると思いますか?


I:ロングボードの一番の見せ場はノーズライディングだと思うのですが、ジェネレーションが変わればそういった流れにもなると思います。

私もライダーと話しながら新しいものを作ろうとするけど、彼らがどんどん意見を言うのに対して、もっとやってやろう!
とかここはこうしたほうがいいんじゃないかな?とか思いながらやってみると、乗ったライダーもそれに気づくんですよ。

で、また意見を言ってくる。

そういった声に応える準備は常にしています。


―――S:オルタナティブボードについてはどう思いますか?


I:HULとかシモンズとかいろいろなボードが出てはいますが、サーフィンはあくまで道具ありき、道具のスポーツです。

かっこ良いよりも乗りやすさを大事にしてほしい。

その人にあったチョイス、と言いましたがライディングしていて楽しい!!と思えるボードを選んでほしいですね。

HPDだと例えばSCORPION2などがオススメです。

ベースとなるScorpionにDT-2のラウンドテールを採用した、ミッドレングスのモデルです。幅広いレベルのサーファーの方が乗っても気持ち良くターンが出来るようにデザインされています。


―――S:カスタムオーダーをする際にベストな方法はありますか?


I:基本的なデータだと名前・身長・体重は必須です。ここでシェイプの前にイマジネーションが生まれシェイプへの情熱がより一層高まります。

今現在何のボードに乗っていて、そのボードに対してのインプレッションがあったり、幅や厚さをこうしたいといった具体的な意見もあるとさらに良いと思います。

ボードのオーダーを頼まれた方は、自分の考えがしっかり伝わったかな?という心配をされる方も多いと思います。

私たちもボードを作っていて、このお客さんにはこういうチューニングをしたほうがいいと思いシェイプしますが、やったことが伝わってるかな?って思うこともあります。

ですが実際に仕上がったサーフボードに触ってもらうとまず満足してもらえます。

あとは現場で自分のサーフィン見てもらえれば完璧ですね。

THE SUNSさんの試乗会などでは宮内謙至プロやHPDのスタッフが現地にいますよね?

そこで自分のサーフィンも見てもらえるし、試乗したボードに対してこうしたほうがいいんじゃないか?っていうインプレッションも現場では解りやすく伝わります。

そういった機会はぜひ使ってもらいたいですね。


―――S:最後にこの対談を読んでいる方に一言お願いします。


I:とにかくいっぱいパドリングしてください。

サーフボードを引き出すのは何よりパドリングです。

あとはとことん楽しんで、だめな時に落ち込むのももちろんサーフィンの良いところですが、そんなとき冷静になって次はこうしようって意識してください。

サーフィンはちょっとずつの積み重ねです。海に入るのが週1回でも月1回でもいいから、サーフィンが好きだ!って言う気持ちにプラス課題を意識するとサーフィンはうまくなります。


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―――S:石黒さんありがとうございました。